現役の自動車メーカー部品設計者が解説します。
「設計する」とは「図面を書く」こと
部品設計者は図面を書くことがメイン業務になります。
え?図面書く事がメイン?
いろんなことを検討したりしないの?
はい、その通りです。
図面を出す過程で様々なことを検討しますが、全ては図面のためです。
部品を作るためのアウトプット物は図面だけなのです。
逆にいうと一生懸命検討しても図面に表現しないと何の意味もありません。
検討してきたことを最終的に全て図面に表現することが設計者の仕事です。
図面を完成させるためにいろんな人と関わる
その図面はどんな過程で作るの?
図面を作るための過程をざっくり説明します。
検討項目を洗い出す
まずはじめに検討項目を洗い出します。
この検討項目の洗い出しは非常に重要です。
あとで検討漏れが見つかると検討が1からやり直しになってしまうこともあります。
ちなみに検討項目の洗い出しは「FMEA」などの手法を使って行われることが多いです。
作り込み&検討項目を検討する
検討項目を全てクリアしていくためにはなるべく同時進行で検討します。
検討する項目はたくさんあります。
- 目標性能を満たしてるか?
- 振動に耐えられるか?
- 周辺部品と干渉しないか?
- 固定ボルトは緩まないか?
- 周辺熱でやられないか?
- 量産品として製造できる仕様か?
- 生産ラインでの組み付け性は大丈夫か?
- 市場での整備生は問題ないか?
等です。笑
これらを同時に進めていかなくてはならず非常に大変です。
ですが、実際には自分一人でやるわけではなく様々な人とコミュニケーションしながら進めます。
- 振動 → 解析専門部署に依頼
- 量産性 → サプライヤに検討依頼
- 組立性 → 生産工場に検討依頼
といったように依頼しながら進めるのでコミュニケーションが重要になります。
設計は黙々とする印象はありますが、実際はコミュ力も重要になります。
図面を書く
検討項目がOKになったら最後に図面を書きます。
図面も場合によっては他の人にお願いしてやることもあります。
ですが、はじめに説明したように図面は設計者にとって唯一のアウトプット物ですので軽んじてはいけません。
きちんと検討してきたことを反映していかなければなりません。
ここで時間がないからと適当な図面を出しては全てが無駄になってしまうので
図面は最重要であることを忘れずに取り組むことが重要です。
図面を書くために様々なものを準備する必要がある
図面の承認をもらうためには図面だけではなく検討結果などの資料の準備が必要になります。
その他にも会社によりますが承認に必要な書類があります。
図面以外の書類は社内のデータベースに保管され、後から誰でも見れるようになっています。
私の場合は図面の他に以下のような資料を出していました。
- 設計レポート(1枚)•••設計の思想や検討結果などをサマリーした資料
- それぞれの検討結果資料(10枚以上)•••検討項目それぞれの詳細検討資料
- チェックリスト(1枚)•••過去不具合から再発させないための社内チェックリスト
図面に表現するのが最重要ですが、
どんな考えで図面を作られたのかというエビデンスを残すことも非常に大切です。
昔の人が作った図面はこういった資料が残っていなくて解読に苦労します。
設計者が身につく事・できるようになる事
図面を出すまでの過程で身につくこと・できるようになることを紹介します。
- CADでのモデリング・作図
- CADでの簡易強度解析
- 部品の知識
- 関連部品の知識
など、様々あります。
まとめ
自動車メーカー部品設計者の業務について解説しました。
設計者のメイン業務は「図面を書く」こと
そして図面を書くために様々な検討し、
その検討のエビデンスを残すことが非常に重要です。
また図面を書くプロセスの中で以下が身につきます。
- CADでのモデリング・作図
- CADでの簡易強度解析
- 部品の知識
- 関連部品の知識
以上、自動車会メーカー設計者の業務についてでした。
ぜひ参考にしてみてください。
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